社会保険料引き上げによる少子化政策の財源確保は絶対的な悪手だと言える理由

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「異次元の少子化対策」と銘打って岸田政権が本気度をアピールする少子化対策政府案の作成が進行しているが、統一地方選前は児童手当3人目6万円だった自民党案が選挙後の政府案では3万円に目減りするなどトーンダウン。

さらには岸田首相自ら少子化対策財源としての消費増税は考えていないと公言しておきながら社会保険料の引き上げを具体的に検討しているという。

大きなインパクトを与えて政府の本気のメッセ―ジを打ち出すかのように思われた少子化対策は、結局のところ票を失いたくない”やってるアピール”だけの代物に成り下がろうとしている。

泉元明石市長のダメ出し

こども政策に大きく舵を切って明石市を躍進させた元明石市長泉房穂氏はABEMA TVのNewsBAR橋本に出演し、以下のように語っている。

総理大臣は何がしたかった?

泉氏
「今回のたたき台もひどいね。あんなんやったってなにも変わりませんよ。
あれを全部やったって意味ないもん。やる前から終わってるやん。
総理大臣何したかったんやろね、ほんまね。

基本的には日本の少子化が加速している中で言ったら、簡単に言うたら、子供を産んでもお金がかからない社会にせなあかんわけよ。
二人目三人目産んでも大学卒業するくらいまでは親の負担がほぼかからないくらいのメッセージを出さないと。
奨学金とかもそうやしトータルにやらないと、そんなもん状況変わんないですよ。せこいことだけやってても。

(こども)ひとりにお金が4~5千万かかったとしましょう。
でも子供が産まれないと何も生み出さないんですよね、社会は。
子供が産まれて大きくなって働くと、生涯賃金2億とか3億とか言いますけど、国民負担率が半分近いんだから子供一人が社会に貢献するわけですよ。
経済回すんですよ。

そのバランス考えたら、産まれないより産まれた方が、全体見たときにお得なんですよ。
子どもに対して投資すれば、ちゃんと社会はハッピーになるんだから、もっとリアルに考えた方がいいと思いますよ。」

総理大臣が腹をくくれば出来るんですよ

「総理大臣が腹くくってやると決めたら出来るんですよ。人事権あるんだから。
中央省庁の事務次官の人事持ってるんだから、総理が腹くくってやればいいんですよ。
内閣で決めなきゃいけないけど内閣の閣僚の人事権持ってるんだから、自分の意志と違うんだったら変わってもらったらいいし。財務省だって首挿げ替えたらいいんですから。
腹くくれば総理大臣は出来ちゃうんです。ホンマは来年から出来ますよこんなもん。」

「思い切った大胆な方針転換しないと。それが政治の仕事だからね。
自分はやりくりしんどかったら国債で良い。
一旦国債で繋いでおいてその間に状況整えて財源合わせればいいと思うんで。
今は危機的状況だから、まずはメッセージ。
安心のメッセージをしっかり国民に出さないと、今の日本は坂道転げ落ちてるから。政治の決断やと思います。」

子供を応援したらみんながハッピー

「明石も最初から私は子供(政策)だったんやけど、すごい反発強いんですよ。子供って言うと。
12年前は子供って言うとお年召した方が”なんでこどもや!高齢者やろ!”っておっしゃるし、ご商売やってらっしゃる方は”子供や無くて産業振興”っておっしゃるんです。
今は変わりました。
なぜ変わったかって言うと、明石は子供に力入れましたやん。
その結果街が元気になって、商店街ぼろもうけなんですよ。
建設業界も人口増で建設ラッシュだからウハウハやねん。
だから商店街にアーケードつけるよりも子育て支援した方がお客さんが増えるから。
今やもう産業界も”こどもや!”って言ってくるんですよ。
しかも高齢者が、子供に金つぎ込んだら経済回ってお金も増えるから、明石は最初数年間待ってもらったけど、バスも無料化した。
今の時代にバス代無料にしてるんですよ?
世の中と正反対で高齢者にもどんどん手厚いんですよ。
最近は高齢者が私の顔見たら”市長!待った甲斐あったわ!やっと来たか!”って。
つまり子供を応援したら、子供だけじゃなくってお年召した方もご商売やってる方もハッピーなのがポイントなんです。」

詳細なニュアンスやより詳しい内容はABEMA TVで。
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国民民主玉木氏の財源に対する考え

元財務官僚で国の財政に詳しい国民民主党党首玉木氏はYoutube ReHacQに出演してこのように語っている。

社会保険料引き上げは法人税増税よりも質が悪い

玉木氏
「防衛に関して言うと、防衛は強化すべきだし財源も確保すべきだという立場です。
子育てに関しても子ども手当の所得制限も撤廃するし徹底的に拡充しろと。
倍にしろっていう立場なんで、拡充って意味では自民と同じなんですね。

で、違いはですね、防衛は増税に頼ってやるのは反対。
子育ては、社会保険料、特に事業主の負担増に頼ってやるのは反対ということです。
ここは多分すべての野党に一致するんですが、我々は対案を示してて、防衛増税の1兆円は外為特会の1兆円を入れれば出来ます。
一時的なお金じゃなくて恒久的な財源としてもう1兆円増やせます。
(外為特会の詳細はここでは割愛。詳しくは動画をご覧ください)

子育てに関して言うと、社会保険料を上げてやろうというのがもう出てくると思うんですね。骨太方針の時に。
で私これは、法人税の増税より質が悪いと思ってて、なんでかって言うと法人税って黒字法人しか払わないんですよ。
でも社会保険料の事業主負担は厚生年金に加入する従業員雇った瞬間に赤字だろうが黒字だろうが全部の法人が負担義務があるのと、最大の問題は計算根拠なんですよ。
事業主が収める社会保険料の計算根拠は標準月額報酬、つまり給料とボーナスが計算根拠の元になっているので、これを上げちゃうと払いたくない企業はまず正社員を雇わないようにします。
あるいは非正規を正規化することを躊躇します。
かつ、賃金とボーナスを出来るだけ抑えようとします。
そうすると今一番やらなければいけない賃上げにこれほど水を差すことは無いので。
だからこれは絶対にやっちゃだめだと。
加えて、子育て世代の負担を子育て世代からもらうというのは私はどうなのかなと思うので、ここについて我々は教育国債を発行しようと。
まさに人への投資と言うならば、そこは投資としてレバレッジを効かせればいいので、国債発行してやればいいと。」

より詳細な国民民主党の政策案は動画をご覧ください。
【ひろゆきvs玉木雄一郎】5兆円!○○国債を!【野党の存在意義は?】

社会保険料も税金なのだが

そもそもこのような議論をするとき、増税派は社会保険料を”税金ではないもの”であるかのように扱い無知な国民の目を欺こうとする。

しかしながら、社会保険料も税金と同じく行政サービスを運営するための財源として強制的に徴収されるものである。

事実、日本の消費税率が欧米諸国よりも低いというお決まりの論理が常套手段化する一方で、欧米諸国では社会保険料を税金に組み入れて算出しているのに対し日本では社会保険料を税金として扱わないため比較対象から漏れており、これを組み入れて比較すると日本の税率は欧米諸国とすでに大差ないというのも有名な話である。

これらのことを踏まえると、冒頭の岸田総理の「消費増税は考えていない」という言葉がただの詭弁であり、子ども政策の為とはいえ他の予算を剥がして票を失うようなことは決してせず、ただ八方美人的に票を得たいという選挙至上主義の立場が透けて見える。


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