「集団自決は社会保障政策であるだけでなく最強のクールジャパン政策でもある」成田悠輔氏が皮肉る“真面目”な議論

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「社会保障改革」は実現できるか

G1サミット2019の中で開催された「安倍政権の残された聖域~社会保証制度改革は進むのか~」より。

Youtubeチャンネル『GLOBIS知見録』
「社会保障改革」は実現できるか~黒田和正×成田悠輔×古川俊治×村井英樹×武田洋子

成田悠輔氏
「日本に居住すらしていない、社会保険料も年金も払っていない門外漢としていうならば。

できれば社会保障についてなんて考えたくない。
できれば目を背けたい。
できれば避けて通りたい。

人間が長く生きてしまっていろいろな問題に人生の中で直面してしまうという今の状況をどうにかこうにか改善できれば、社会保障についてこんなに喧々諤々の議論を交わす必要もない。

ではどうしたら様々な問題と人生におけるリスクを軽減できるだろうか。

辿り着いた結論は、集団自決みたいなことをしたらいいんじゃないか。
集団切腹みたいなことをしたらいいんじゃないかと。

「武士道とは死ぬことと見つけたり。」という有名な文句の典型的な解釈は(大儀とか目的のためなら死ぬことも厭わない)というのが武士であり日本人であると。
でももうちょっと踏み込んで考えれば、江戸中期にあってもはや戦場で華々しく死ぬこともできなくなったサラリーマン化した武士たちに対して、死ぬに値する大儀や目的をでっちあげてみたらどうかという挑発であると捉えることもできる。

僕たちが議論すべき大義は、高齢化して延々と生き続けてしまうこの世の中をどう変えて、社会保障などについて議論しなくてもいい世の中をどう作り出すか。
そのためには、かつて三島由紀夫がした通りある年齢で自ら命を絶ち、自らが高齢化し、老害化することを事前に予防するというのが良い筋なのではないかと。

このような議論の場にいらっしゃる社会のリーダーの方々が次々に切腹するような社会になったら、(集団自決は)ただの社会保障政策であるだけではなくて最強のクールジャパン政策にもなり、世界に日本のプレゼンスを発揮する良い方法なのではないかと。」

老人のために老人が運営する国

日本は今や約3人に1人が65歳以上という超高齢社会であることは周知の事実ですが、この超高齢社会を運営する閣僚も世界一の超高齢組織であることはご存知でしょうか。

OECD Average age of cabinet members, 2018

医療が発達し老人福祉に手厚い健康長寿の国。
そして、老人がいつまでも社会のトップに居座り続ける国。
これにより、新陳代謝が進まずに新しい価値を生み出せない国。

武士道が「死に様」に価値を見出したように、「ダラダラと目的無く生きつづけることは恥」とされ「老いたものは潔く退く」ことが美徳とされてきた日本においては、本来老いて能力が衰えた世代は潔く後進に道を譲り、余生を悠々自適に過ごすことこそ理想の『美しい生き方』であるはずです。

ですが現実は、自らの老いと衰えを認めず「若いものには任せられない」と言わんばかりに老人が権力を握り、老人の票を集めることでその権力を維持し続けるという構図が常態化した滅びゆく国と化しています。

老人が自発的に変わることが重要かつ絶対不可能であるという矛盾

冒頭の成田氏の発言はこの日本の現状を揶揄したものですが、この発言の中で考えるべきは行動の主体は老人であるべきだということです。

いくら若い世代が引退を進めても当の本人には老いの自覚は無く、さらには民主主義の基本である数の利を老人に握られている現状では外的な働きかけで変化を起こすことは不可能でしょう。

老人自らが率先して「潔く身を引く事こそ最大の国益」であることに気づき実行する社会であるべきだということを訴える発言であり、さらに裏を返せば、判断力が鈍った老人にはそんな気づきすら望めるはずもなく、もはや日本という国は修正不可能なオワコンであるという絶望的状況において当事者である老人を差し置いた自称有識者たちによる社会保障の議論など不毛である、という秀でた能力を持つがゆえに達観した諦めの境地ともいえる発言だと理解するべきでしょう。

▶成田悠輔「若者は選挙に行っても意味がない」


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