「全員ただの馬鹿かポジショントーク」成田悠輔が断罪する経済論の中の嘘

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経済成長できない日本についての議論の中で発したイェール大学助教授 成田悠輔氏の発言です。

▶日経テレ東大学「ウソつき経済学者は○○【日本の成長阻害する要因とは?】」

ギャラとフォロワーを手に入れたい悪質な人たち

成田悠輔氏
「(日本が経済成長するためには?の問いに対して)わかるわけないっていうところからスタートすることが重要かなと思うんですよ。

日本経済だけがなんで成長できないのかみたいな問いを立てると、こういう事をやらなかったから成長できなかったとか、こういう事をやったらもっと成長できたんじゃないかみたいな事を言いたいわけじゃないですか。
だけど、日本経済がもし過去20年間とか30年間で今と違うことをやってたらどうなってたのかっていうことを考えると、まぁわかんないですよね。
だって日本って1個しかないわけじゃないですか。

で日本はたまたまこういう事をやって歴史を積み重ねて来たので、別の政権が生まれたらとか、まったく別の政策をとったら、あるいは世界の趨勢が変わっていたらどうなったかっていうのは、究極的にはわからないと思うんですよ。

だから、経済学者なのにって言われたんですけど、経済学者だからこそ“わからない”というところから出発することが大事かなと思うんですよ。

で世の中には経済学者とかエコノミストとかっていう名前で新聞とかテレビとかに出て、例えば日銀がお金を刷らなかったことが失われた30年の原因だとか言って、刷りまくればすべて解決みたいな事を言ってる人がいるじゃないですか。」

田村淳氏
「僕もそれ刷り込まれてます。」

成田氏
「あれはまぁ全員ただの馬鹿か、あるいはポジショントークでギャラとフォロワーを手に入れたい悪質な人たちということで、これを見てらっしゃる方はそういうはっきりした主張をしている経済学者の方を見たら、是非信じないですぐにフォローを止めていただきたい。
というのがまず出発点。」

田村氏
「でも、それが違うっていう根拠は何なんですか?」

成田氏
「いや、わからないことについて“わかる”って言ってるので、それはコロナがただの風邪だって言ってる人とか、コロナで世界が崩壊するとか、ビル・ゲイツの陰謀だとか言ってる人たちとほとんど同じような感じなので、テレビの人たちがそういう人たちを使いたがって、そういう人たちを使うと数字が取れるのはわかるんですよ。
だけど良識ある方は是非信じないでいただきたい。
ということで、世の中の難しさにちゃんと直面するってことが重要なんじゃないかと。
打ち出の小槌みたいなものはそうそう無いっていう事だと思います。」

現代貨幣理論は本当?嘘?

成田悠輔氏が議論の中で「嘘」として取り上げたのは、所謂『現代貨幣理論(MMT,ModernMonetaryTheory)』を主張する経済学者やエコノミストの方たちだと思われます。

ただし『現代貨幣理論』自体を全くの嘘だと言っているわけではなく、不確実な“いち理論”を完全に正しいものであるかのように言い切っている事が嘘であるという点に注意してください。

現代貨幣理論(MMT)とは?

詳しくは専門書などを参考にしていただく前提で、日本の経済政策に対する現代貨幣理論を背景とした主張をザックリとまとめると以下のような理論になります。

  • 国債は国民の借金ではなく国民の財産である。
  • 自国通貨建ての国債はいくら発行しても債務不履行(デフォルト)にはならない。
  • 税金は国の財源ではなく、市場に増えすぎたお金を減らすための手段である。

まず大前提として、お金(価値、貨幣)は誰かが『借りる』ことで生まれる(国債)。
国は国債によってお金を『生み出し』、市場に出回ったお金は国民に行き届き『財産』となる。
市場のお金が増えすぎた場合、国は税金という形で徴収することでその総数を『減らす』という調整を行う。

そしてこの考え方を今の日本経済に当て嵌めれば、

日本全体の経済が停滞し成長できていない=お金が足りないのだから政府は日銀に指示して(借金して)国債という方法でバンバンお金を刷って市場のお金を増やせば良い。
政府から日銀への返済は新たな国債によって埋めればよい。
かといっていくらでもお金を刷って良いというわけではなく、目標は毎年のインフレ率+2%程度に置くのが良い。
(+2%は政府の目指すインフレ目標でもあるが達成はできていない。)
貧しい(お金が足りない)日本において財政健全化を旗印に増税(お金を減らす)などもってのほかである。

という主張になります。

正解はわからない

素人目に見ても今の日本の経済政策は上手くいってはいないでしょう。
このような状況にあって、お金の成り立ちや捉え方を大きく変える現代貨幣理論は確かに一定の説得力があります。

さらに言えば、ここ数年で現代貨幣理論に似た(バックボーンとした?)経済政策論を唱える政治家も増えており、「国の借金は悪である」という考え方自体がミスリードだったのでは?という見方も強まってきています。

そんな中で成田氏の提言は、そもそも『人が国を運営する』という事自体が未知の経験であり、簡単にABテストのようなものを行って事前に正解を知ることは出来ないのだから、多数の要因が絡みあう経済というフィールドにおいて“いち理論”を盲目的に信じることは危ういことである。という意味で捉えるべきなのでしょう。


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