11月1日時点の各党情勢と評価。影響力を増す国民民主と政権交代しか考えていない立憲民主【2024衆院選後】

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2024年10月に行われた衆院選の結果、各党のパワーバランスは大きく変わりました。ここではこれまで政治に疎かった方でもザックリと状況を把握し今後の政治の激動を楽しめるように、なるべくわかりやすく解説していきます。

議席の変化

党名公示前議席
(選挙前)
獲得議席
(選挙後)
自民党247191 (-56)
公明党3224 (-8)
立憲民主党98148 (+50)
日本維新の会4438 (-6)
共産党108 (-2)
国民民主党728 (+21)
れいわ新選組39 (+6)
社民党11 (0)
参政党13 (+2)
諸派03 (+3)
無所属2212 (-10)

比例票の推移

党名前回
(2021年)
今回
自民党1991万1458万 (-26.8%)
公明党711万596万 (-16.2%)
立憲民主党1149万1156万 (+0.6%)
日本維新の会805万510万 (-36.6%)
共産党416万336万 (-19.3%)
国民民主党259万617万 (+138%)
れいわ新選組221万380万 (+71.8%)
社民党101万93万 (-8.3%)
参政党187万 (—)
保守党114万 (—)
みんなの党79万2万 (-97%)
※不正確ではありますが、見やすさのため1万票以下は切り捨てて表示しています。

各党の寸評

ここからはなるべく客観的であることに勤めますが、どうしても筆者の主観も混じる寸評になります。異なるご意見やご指摘は是非コメントを。

【自民党】

今回最も議席を減らし、自民単独過半数だけではなく自公連立でも過半数を割り込むという大敗。責任をとって小泉選挙対策委員長は辞任。

石破首相兼総裁及び森山幹事長は続投の考え?ですが、今後自民党内から責任論と辞任を求める声が噴き出すのは避けられないでしょう。

政権運用

これまでは自民党もしくは自公政権の中で決めたことが国会を必ず通過するという1強体制が続いてきましたが、今後は自公以外のどこかとも協力しなければ議会の過半数を確保できないため予算も法案も通らないという状況になります。
どこかを抱き込もうとするのか、それとも野党にも真摯に耳を傾け議論していく姿勢を見せるのか、大きな注目が集まります。

敗因と今後

敗因については方々でいろいろ推測されていますが、大きなひとつの可能性としては『石破総裁への失望』があったのではないかと思われます。

そもそも、政策云々を抜きにすれば『今までにないクリーンな自民党を作れるのは党内野党とも言われた石破氏しかいない』という藁にも縋るような党員や国民の期待があったのではないかと思われますが、石破氏は総裁選勝利後に大きく主張や言動を変化させ、あたかも『自民党の強大な権力には石破氏であっても逆らえなかった』とも言うべき失望を国民に植え付けてしまいました。この失望への落差は期待が大きかった分ことさらに大きく国民の支持に影を落としたのではないかと思われます。

11月中に首班指名選挙(内閣総理大臣指名選挙)が行われることになりますが、たとえここで総理の座を守れたとしても今後は自民党内で石破降ろしの動きが激化するでしょう。政策に明るい人々からは共に総裁選を戦った高市氏を待望する声も多く聞かれますが、果たして。

【公明党】

議席を25%にあたる8議席も失ってしまった公明党は、まさに自民党不支持のとばっちりをまともに喰らった形であると言えるでしょう。公明党にとってゆかりの地でもある大阪で維新に全敗したことはこれまでの党の方針にとって大きな意味を持ちます。

代表落選

石井代表は自らが出馬した埼玉14区で国民民主党候補者に敗れ議員では無くなってしまうという驚きの結果。これを受けて代表を辞する意向を表明し、11月上旬のうちに新たに代表選が行われる見通しです。

連立の意義が問われる?

宗教票の是非などでちょっと敬遠されがちな一面もある公明党ですが、支持層となる創価学会員のほとんどは特別裕福ではない一般庶民。そのため、実はこれまで公明党が協力実現してきた政策は庶民に寄り添った現実的な政策が多いということはあまり知られていません。
政策を通すために自民に協力してきた『連立がもたらす利益』よりも『自民の悪評のとばっちり』を避けることを重視するならば、連立解消という選択肢も上がってくるのでは?と思ったり思わなかったり。

【立憲民主党】

議席を50も伸ばして148議席とした立憲民主党は「政権交代は民意だ!」と息巻いているようですが…。

比例票が物語る現実

立憲民主党の比例票は、実は前回選挙からほぼ横ばい。ということは、今回伸びた議席のほとんどを小選挙区で獲得した、ということになります。

これは簡単に言えば、

(小選挙区)自民党は嫌だからどこか別の党に入れよう。でも推し政党の候補者はいないし、死に票は嫌だからデカい立憲でいっか…。
(比例)小選挙区では候補者がいなかったけど、比例はホントの推し政党に入れよう!

ということになっていたのでしょう。

小選挙区で議席を伸ばしたのは「お金があって候補者をたくさん立てたから。」
比例が伸びなかったのは「ホントの推し政党ではなかったから。」

民意の勘違いと無理な政権交代

立憲民主党は選挙後も「政権交代は民意だ」と言って野田政権の実現に邁進しています。が、そんなことを言っているのは立憲民主党のみで、世間の関心は現実的な経済対策を打ち出した国民民主党と自民公明との交渉に集まっています。
民意は「自民は嫌だけど立憲民主も嫌」なのでは…。

【日本維新の会】

議席を6減らした日本維新の会は一見すれば「微減」くらいのダメージにも見えますが、実は比例票の落ち率でダントツの1位。さらに候補者の数を大幅に増やしていたにも関わらず議席数微減なので、当選者/候補者の率で見ても大敗と言わざるを得ない状況です。

敗因

最も口々に語られているのは自民党の裏金問題に関する政治資金規正法改正で「10年後の公開&黒塗りOK」に賛成したことでしょう。もともと大阪府政を担う大阪維新の会のプラスイメージを背負って得た人気でしたが、どうやら国政の場に於いて日本維新の会のプラスイメージは剥げ落ちてしまっていたようです。

小選挙区では大阪全勝という快挙も達成していますが、おそらくこれは大阪維新と混同した期待が票に現れたためで、実際の国民からの期待感は比例及び大阪以外の選挙区での大敗が物語っているのでしょう。

【国民民主党】

7議席から28議席へと今回本当の大躍進を遂げたのは国民民主党です。選挙後すでに多数派工作を画策する自公立憲から打診があり協議を開始していますが、頑なに「連合連立はしない。政策単位で対応する。」という是々非々のスタンスを崩していません。

勝因

国民民主党は結党以来「是々非々の中道政治」を掲げて活動をしてきましたが、どうしても対立構図としてわかりやすい「右か左か」「与党か野党か」といった政局にばかり目が行きがちな政界に於いては「地味」ととられ、目立つことが出来ないジレンマにありました。

が、今回の衆院選では各党が「政治と金」を巡る罵り合いを繰り広げる中で「真っ当な経済政策」をアピールし続けたことで、おじさん同士の口喧嘩に疲れて政治に興味を持てなかった若年層を中心に認知度及び支持を拡大し、大躍進へつながったものと思われます。

ここ十数年の政治、選挙に於いて『本当に国民の一票が日本を動かし得るんだ』という実感を唯一、国民民主党から感じ取ったという有権者も少なくないのではないでしょうか。

今後

『与党が過半数を占めるには約20議席足りない』という状況に於いて20議席を上回る野党は「立憲民主」「日本維新の会」「国民民主党」の3党。さらにこの中で、今回の選挙でもっとも国民の支持を得たと言える国民民主党については各党が無視できない状況。

選挙後すぐに『何かにつけ連立、連合といった政局ポジションに結び付けてPVを稼ぎたいマスコミ』と『積極財政&減税を阻止したい財務省』による印象操作は始まっていますが、その中でどこまで「国民のための政策本位の中道政治」を貫けるかに支持者の期待の目が集まっています。

過半数を割った与党との交渉、駆け引きは今後さらに激しさを増すものと思われますが、その中で公約として掲げた政策実現にどこまで突き進めるのか、そして新しい政治の決定プロセスを体現できるのかといった点に今後の国民民主党、並びに国政そのもののあり方として注目していきましょう。


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