日経テレ東大学に渡辺喜美が出演し政界が抱える問題について語った。
▶【ひろゆき&成田悠輔】政界引退で衝撃暴露【政治が抱える問題】
3行で要約
・2回の増税でアベノミクスは未完成に終わった。
・増税は自民党を支援する業界団体へ利権を配るための原資確保。
・自民党の大半は「増税出来る政治家が真の政治家」。
当然のことながら、増税すれば景気は悪くなる
アベノミクスは正解だった?
渡辺氏
「金融は60点くらい。財政は30点ですね。構造改革は20点くらい。
ま、未完成ですよ。」
財政は何をすればもっと点数が上がった?
渡辺氏
「財政は増税を2回やっちゃったのがもう失敗の元でしたね。
金融はイールドカーブ・コントロールでちょっとおかしくなってましたね。
構造改革は残念ながら進んでない、といった感じですかね。」
※イールドカーブ・コントロールとは
長期金利と短期金利の誘導目標を操作しイールドカーブ(金利と償還期間の相関)を適切な水準に維持すること。
ということは国債の利率を上げてしまっても良かった?
渡辺氏
「逆ですね。
マイナス金利導入までは良かったんですけど、保有国債の80兆円路線っていうのをやってましてね。
長期国債を80兆円買い取るっていう路線をやってたんですよ。
それが一回目の増税やって突然イールドカーブ・コントロールから80兆円がとんとことんとこ下がって、最近また大変だ大変だって言って買い始めたんですけど、ちょこっとこの程度になってんですよね。
ですから80兆円でずーっと行ってればまた話は別。
でそこへもってきて増税2回やっちゃったもんだから、景気が明らかに腰折れしてるんですよね。」
”増税すれば景気が悪くなる”のになぜそんなことをする?
渡辺氏
「増税こそ命っていう人たちがいるんですね。
やっぱり日本を支配しているディープステートじゃないけどね。
正確に言うと増税を決めたのは民主党政権。
民主党の政権公約に乗っかっていない増税を決めちゃったわけですよ。
でそこに自民党、公明党はもともと消費増税賛成の人たちですから、民自公路線で乗っかっちゃったわけですね、野田内閣の時にね。」
自民党政権下では”止める”という選択肢もあったのでは?
渡辺氏
「そこは阿部さんにも聞いたんですが、一言で言うと”仕方がなかったんです”という答えでしたね。
自分が政権獲る前に決められちゃった路線だったと。
だからせいぜい延期するのが精一杯だったと。
そういうお話でしたね。
おそらくそれ(撤回・引き下げ)をやると、安倍政権に対して自民党の中から反乱が起きたと思います。
だから出来なかったと。」
増税をしないと反乱する人が自民党にいる?
渡辺氏
「いますよ。
だって阿部さんの側近の麻生さんが延期の方を反乱を抑えながらやってきたわけですから。
延期を仕方なしに麻生さんも飲んだんですね。
で、飲んだうえで財務省が反乱を起こさないように”お前ら仕方ねぇから我慢しろよ”くらいのことは言ったんじゃないですか。
だから結果として増税のせいで景気は2回とも凹んでるんですね。」
自民党はなぜ増税する?
渡辺氏
「まぁ増税命の人が自民党の大半ではないんだけど、いるんですよ。
増税みたいに厳しいことを言える政治家が真の政治家みたいな誤ったパラダイムに固執しちゃってるんじゃないですかね。」
その人たちは財務省の利害を代表している人?霞が関全体?
渡辺氏
「たくさん集めてたくさん配るという利権構造が出来上がっていますので、たくさん配るためにはたくさん集める。
それは財務省の中で一番権限の強い主計局の権限でもあるわけですね。
だから財務省は主計局が支配してるってのがまぁよく言われたもんですよ。
10年に一回くらい主税局出身のね、次官ができるとかいうのはありますけどね、大半は主計局長→事務次官でしょ。
まぁそういう構造ですよ。」
ということは官僚出身の政治家は基本的に増税賛成?
渡辺氏
「だと思いますね。
ようは業界団体も口空けて待ってる人たちが多いわけですから、だからそういう人たちに配分をしていくためにもたくさん集める。
それくらいはやんないとなと、いう事じゃないですか。
まぁだいたいね、自民党の利権構造っていつ頃固まったかって言うと、自由民主党と言いながら国家社会主義の時代に固まってるんですよ。
国家社会主義っていうのは昭和15年前後に確立した右の国家社会主義と左のコミンテルン(共産主義インターナショナル)が一緒に同居して隣同士になってるようなね。
だからそのころの秩序が、所謂戦後レジームになって今日なお残っちゃっているんですよ。」
アベノミクスの最大の障壁は増税
渡辺喜美氏が述べる”アベノミクスが停滞した原因は増税である”という見解は、元内閣官房参与の本田悦郎氏の持論と完全に一致している。
▶消費税増税がアベノミクスをぶち壊した ミスターアベノミクス本田悦郎氏が振り返る政策失敗の最大要因
日本は借金大国で増税こそ日本を救う唯一の手段であるという財務省のミスリードと、これに呼応して支援団体に利権を配るため増税を推進する自民党。
それでもなお自民党が選挙で勝ち続けるということは、恩恵を受ける業界団体と自民党の利権構造が国民の民意など意に介さないほど強いのか。
それとも国民全体が盲目なのか。
その他、渡辺喜美氏が訴える政治の問題点については是非動画をご覧ください。
渡辺喜美 略歴
渡辺喜美(わたなべよしみ)は1952年生まれの元国会議員(参院1期衆院6期)。
- 1996年 第41回衆院総選挙で初当選(自由民主党)。
当選同期は河野太郎、菅義偉、平沢勝栄など。 - 2000年 自民党財政部会長代理及び党金融問題調査会事務局長を兼務。
- 2006~2007年 第一次安倍内閣で内閣副大臣、規制改革特命担当大臣、金融特命担当大臣などを歴任。
- 2008年 民主党が提出した麻生太郎首相に対する衆議院の解散総選挙要求決議案に与党からただ1人賛成し自民党から戒告処分を受ける。
- 2009年 自民党を離党。
同年に「みんなの党」を結成し代表に就任。 - 2014年 みんなの党代表を辞任。みんなの党は解党に至り、第47回衆院選では無所属で出馬し落選。
- 2016年 おおさか維新の会から参院選当選。
- 2017年 おおさか維新の会へ離党届を提出したが受理されず除名処分。
- その後都民ファーストの会、希望の党、NHKから国民を守る党らと接触するものの、2022年に参院選の立候補を断念し政界引退を表明。