2022年9月時点で確認できる世界的インフレと円安について、事実と一部推測を含めた原因や背景を簡潔に列挙していきます。
インフレとは
インフレーションの略。
現象としては以下。
- 需要が供給を上回ることで物価が上がり続ける。
- 物価が上がることで企業価値が高まり賃金が増える。
- 相対的にお金の価値は下がる。
- 適度なインフレは経済成長の証であるとされる。
- 過度なインフレ(ハイパーインフレ)は国(貨幣)の信用を失墜させ経済の混乱を引き起こす。
適度なインフレを誘導する(デフレを抑制する)経済対策は以下。
- 金利を下げてお金を借りやすくする。
- 借りたお金を使うことで需要が高まる。
インフレの行き過ぎを抑制するための経済対策は以下。
- 金利を上げてお金を借りづらくする。
- お金を借りられないので需要が減退する。
世界的インフレの要因
2022年に起こっている世界的インフレの要因として考えられるのは以下。
- パンデミックからの回復を目的とした金利引き下げ。
- パンデミックの反動による需要増加。
- パンデミックの影響による供給減少。
- ロシアウクライナ戦争による供給減少。
日本の物価高騰の要因
日本の物価高騰は世界的なインフレとは少し毛色が違う。
物価高騰の要因は以下。
- ロシアウクライナ戦争による原油、天然ガスの値上がりによる製造業、輸送業全体のコスト増。
- ロシアウクライナ戦争による一部の品目(特に小麦)と関連製品の値上げ。
- 円安による輸入物価の上昇。
ただし
- パンデミックからの回復、反動による需要増は限定的。
- 経済の活性化(好景気)による需要増を伴わない外的要因による物価上昇。
という側面から、本来の意味でのインフレとは異なり「悪いインフレ」もしくは「スタグフレーション(景気後退+物価上昇)」であるとされる。
円安の要因
ドル円レート:144円(9月現在)にも及ぶ円安の要因として考えられるのは以下。
- 進行するインフレを抑制するための世界的な(特にアメリカの)金利引き上げ政策。
- 日本で継続する金融緩和(ゼロ金利)政策。
- 世界(特にアメリカ)と日本の金利ギャップによる円売りドル買いの動き。
日本が金利を上げられない理由
世界に合わせて日本も金利を上げればギャップは埋まるが、金利を上げられない理由もある。
- 20年超続く不景気。
- 不景気脱却のため(市場にお金を流通させるため)のゼロ金利政策。
- 金利引き上げによって市場のお金の流通が鈍化すればさらなる不景気を招く恐れ。
世界的インフレと円安のまとめ
以上を要約すると以下のようになる。
- パンデミック及びロシアウクライナ戦争の影響で世界的に供給が減少。
- パンデミックからの回復、反動により世界的に需要が増加。
- 日本は需要回復が遅れ物価のみ外的要因で高騰。
- 進むインフレを抑制するため世界は金利引き上げ。
- 日本は長引く不景気により世界の金利に追従できない。
- 金利ギャップで記録的な円安加速。
- 円安によりさらに物価上昇中。←いまここ
よって円安を悪とした場合の「金利を上げれば良い」「金利を上げない政府&日銀が円安の原因」という論調は間違っており、正確には『経済衰退国の日本は世界について行けない』『経済衰退国だから日本の価値が低い=円が安い』というのがおそらく正しい。
結果『経済を衰退させた過去20年の政府及び有権者』が円安の主な原因ということになる。